――タカネットサービスは2025年6月に創業16周年を迎えました。改めて振り返る成長の要因、16年を経て思うことをお聞かせください。
決して良い時ばかりではありませんでした。2019年に東京証券取引所に上場しましたが、より機動的な経営のため、上場の終了を決断したこともありました。そうした時代もありましたが、社会貢献性が高くグローバルレベルで価値のある商材を扱い続けてきたこと。これが、近年の成長曲線をサポートすることになった…という認識は持っています。
例えば2024年問題。ある意味ではチャンスとトリガーが両方起きたということです。働き方改革関連法の施行はトラックドライバーを雇う業種全体に伴うリスクにはなった。それにより運送事業者の倒産件数も増えました。ただ広く報道されたことで、一般消費者の方にも運送事業者の重要性が改めて認知されることになりました。
加えてコロナ禍でEC(電子商取引)通販への需要が一気に急上昇した昨今。運送事業者は減少していますが、実は車両の登録数自体は上昇傾向にあります。倒産した事業者のドライバーや車両は別の事業者が吸収しており、多頻度で何度も往復するというEC特有の物流量の増加に対応しています。
車両の必要台数は絶対的に増えていく。地方になればなるほど複数台のトラックで時間を分けて配達することになるので、車両数はより必要になりつつあります。さらに物流需要の季節変動がより激しくなってきている。この好機を得たのが我々の商品、一時的に車両を使ってもらうことができる「サブスクdeスグのり」サービスです。
――中古トラック買取販売事業での創業が2009年。そこからすぐに今で言う“サブスク”の事業を開始されていますから、当時としては先駆け的なスキームでした。
今でこそ“サブスク”という名前がついていますが、実は創業当初から同じスキームでご提案させていただいています。現在の業態に大きくスイッチが入ったのは、2011年の東日本大震災。そもそも描いていたサブスクのビジネスモデルが一気に現実の事業として動き出しました。つまり復興で、車両を一時的に使うというニーズがあったということです。
商用トラックというものは、当時は乗用車と違いレンタカーとして乗る考え方・風習ではなく、そういうビジネスモデルのカテゴリに入る商品ではありませんでした。大手のメーカーさんですら、自社のトラックをレンタルやリース、サブスクで提供するという意識は無かったと言えるでしょう。
それを当社が先駆けてご提供でき、“一時的に使う”という商品だという認識を示すことができました。このあたりは先行者利益を相当取れているんじゃないかと自負しています。そして、そのサブスクビジネスの延長線上に出てきたのが「リフレッシュトラック」です。
――「リフレッシュトラック」は2024年にサービス開始された、多走行車両に重整備を施して“あと5年”長く乗れるというものですね。
そもそも、当社は一時的に利用するトラックというビジネスモデルから、リースにまつわる色々な商品サービスを開発してきました。その1つがリースバック――商品名で言うと「CASH deスグのり」というサービスです。お客様の車両を一度当社が買い取って、お客様はリースとして使っていただければ、減価償却リスクを低減できます。
一方で、創業以来の生業であるトラックの買取・販売というビジネスモデルがあり、その中でまだまだ使えるにも関わらず、売却せざるを得ない車両をたくさん目にしてきました。例えばコンビニのルート配送を担当する冷蔵冷凍車。24時間の配車繰りで配達していると、それほど年限が経っていない車両でも売却に至ってしまいます。
その車両はまだまだ躯体部分は維持されているのに、24時間使われているエンジン周りが疲れていて入れ替えざるを得ない。であれば当社が車両をいったんリースバック形式で買い取って、そこに新車のようにリビルドしてもう一度利用していただく。これが「リフレッシュトラック」の仕組みです。
(※東日本車両センターにて”リフレッシュトラック”の対象車両を整備中)
サービスのニーズとして上がってきたのは新車の高騰、納期の遅延。にも関わらず、物流は日々発生するという背景からです。そうした状況に対応するため、車両のリフレッシュをしてもう5年、月々非常にリーズナブルなコストで継続して乗ってもらう。リフレッシュのためのパーツも、ある程度再生部品を使いながら行っています。
――2024年5月には株式会社栃木パーツをM&Aされ、2025年5月には第二種金融商品取引業の登録もされましたね。
基幹部品を当社のアセットで供給できるか?ということが大事で、それが栃木パーツのM&Aに繋がっていきます。さらに整備レーン、整備士を増やし、今年は昨年比で1.5倍の「リフレッシュトラック」を生産できる見込み。新車を買うよりも、コストバリューが良い物流トラックの乗り方を提言させていただいています。
こうした「スグのり」の車両はいったん当社が所有権を持って、お客様に月次の利用料で緩やかに使っていただくビジネスモデル。そうなると車両の調達資金をいかに有効に確保して、扱う車両台数を伸ばしていけるか。
そのような背景を踏まえ、当社子会社のTNSアセットマネジメントは、第二種金融商品取引業の登録を完了し、車両導入に関する新たなスキームを構築いたしました。これにより、お客様のニーズに対して、より迅速かつ柔軟に対応できるサービス提供が可能になりました。
トラックは価値減損率が低いものです。排ガス規制の問題で、日本の大都市圏では約10年しか乗れませんが、その後東南アジア諸国に輸出され約20年使われる。つまり11年目のトラックには多くの業者から入札が集まります。日本のトラック車両自体の価値というのは、10年を経てもある一定の維持がされている状態だというわけです。
それともう1点は、社会貢献性が高いということ。今やEC通販を使ったことが無い人はいません。そのインフラとなっている物流、ジャストインタイムで運んでいるという社会貢献性です。これが日本国内で恰好の商材であるということを当社が強く訴えてきた結果、金融庁の認可取得に至ったと考えています。
――変化を続けるタカネットサービスですが、これから事業において挑戦していくことは何でしょうか。
創業時代は車両のレンタル・リース事業に重きを置いてきました。その認知度が上がっていくにつれて、車両の供給台数を確保するため、投資を募るなどファイナンスを絡めるように。そうして車両を提供してきたわけですが、さらに今後お客様のニーズに合わせて、車両だけでなく資金の供給、人材の供給も行っていけるようになれればと考えています。
(※レンタルサービスの対象車両)
人材についても外国人の特定技能で来られるドライバーの供給にも乗り出し、人手の確保から車両・設備、コスト面の最適化まで、物流に必要なリソースをワンストップでご提供します。これを2025年からスタートしていきます。
――一方で働き方改革にも挑戦されていて、今年から週休三日制を導入されたそうですね。
企業は人。優秀な人をどれだけ多く採用できるかだと思っています。では、どれだけ優秀な人を採用できるか。それには大手企業にはない何かを出さないと、当社には目を向けてくれません。賃金はある一定の限界があるので、まずは労働時間と休日。労働時間については既に30分の時短をして7時間30分となっています。
それと休日。今年から週休三日制を月1回、トライアル導入しました。有給休暇についても中長期的には70%の有給消化率を目指しています。今期についてはまず全社での有給消化率50%と、実質月2回の週休三日制を実現したい。中小企業ならではの身軽な組織だからこそ、実現できる取り組みだと思います。
絶対的な仕事量を減らさず、いかに効率よく生産性を上げられるか。それによって時短、休暇が増えて余暇が取れるなら経営者と従業員のゲインシェアになります。これを加速して週休三日制が実現できれば、今まで大手企業に流れていた優秀な方の応募も増えてくる。
(※福利厚生・バイク同好会にて)
これから事業拡大によって多彩な人材の採用が必要になりますし、目に見える働くメリットを出していきたいと思っています。時短による30分のズレによって、いかに通勤渋滞や満員電車から解放されるか。生産性が上がって労働時間が短くなるならどんどんやってほしい。そうした部分も創業以来、経営の考え方の根底にあります。
――タカネットサービスは今後どんな会社になっていくのか、事業の視点と働き手の視点の両面から教えてください。
事業としては換金性が高く、社会貢献性が高く、価値減損率が低い商用車というものを核にしたあらゆるアセットビジネスを自社のライン上で展開していきたい。ここの方向性に全く変わりはないです。その中で上場会社という立場を2021年にいったんEXITしました。それによりステークホルダーは株主から従業員に変わったことになります。
まずは従業員がハッピーでないといけない。形は色々かと思いますが、働く上でのハッピーは、いかに生産性が高く、賃金が高く、自分のしている仕事の社会貢献性が高いかということ。当社は車両にまつわるあらゆる事業会社を持っていますから、「こういう仕事がしたい」ということが叶えやすい会社ではあると思います。
なので、自分をよりキャリアアップしたい、より稼ぎたい、より休みたい、より遊びたいという“欲深い”人にどんどん来てもらいたいと思っています(笑)。もちろん我欲だけじゃダメですよ?
まずは自分の所属チームを勝ちチームにして、自分の貢献度を高めてMVPになる。そうして会社の収益を増やし、休みを増やし、働きやすい会社に変えていけば良い。僕としては生産性が変わらないのであれば、週休四日制でも良いと思っていますよ。
――来たれ“欲深い人”、ですね(笑)。最後に未来のMVP候補に向けてメッセージをお願いします。
タカネットサービス16年。遡ればいろいろなことが起きました。意欲旺盛なので他の企業よりも今日の景色と明日の景色が相当変わっている会社です。例えばそこに10年いてくれれば、相当な激変に耐えられる身体になると思います。スキルアップ・バリューアップは必ずできますし、やりたいことや働きたい環境が実現できる。そうした環境を提供できる企業でありたいと思っています。