2024年5月末。株式会社タカネットサービスは、栃木県佐野市に本社を置く株式会社栃木パーツとの株式譲渡契約を締結。
ーーまずは、栃木パーツを子会社化した理由を教えてください。
タカネットサービス 代表取締役社長 西口高生(以下、西口):車のスタートというのは、やはり新車からですよね。メーカーのラインからロールアウトされて、新車としてユーザーにハンドリングされます。それが最後どうなっていくかというと、中古車として再度販売されたり海外へ渡ったりと、いろいろな車の末路というものがあると思います。海外へ渡った車は、日本で約10年使われ、その後約20年使われるというスキームがありますが、国内で10年使われようが、海外で20年使われようが、やはり末路がある。その車の末路に、解体という事業があります。例えば、不幸にして事故してしまった車、災害で水没してしまった車など、そういった車をどのようにして再生していくのかというと、修理ではなく部品を取って再生していくというやり方があります。それらは、基本的に部品として生まれ変わり、修理用パーツや、アルミとして再生されていくという訳です。
私たちの事業としては中古車を中心としていますが、サブディーラーとして新車も供給しています。しかし、さまざまな事業を行う中で、この解体という部分がネットワークになかった。つまり、この部分が私たちの終着点なんですね。これを山手線に例えるならば、東京駅から内回り外回りでぐるっと回って帰って来る。私たちが目指す循環型ビジネスモデルの最終路線に栃木パーツがあった。これが、今回このM&Aに乗り出した理由です。
ーーでは、今後解体という部分に関しては、栃木パーツが行っていくということでしょうか?
西口:そういうことになります。自動車リサイクル法というものがありまして、栃木パーツという会社は、そもそも破砕業という形でその許認可を持っています。例えば、オゾン層を守るためのエアコンフロンガスの処理や、リサイクルさせる部品取りをして、適正に処理をしていくための許認可というものを持っており、最終的に正規の業者として車を破砕・分解できる権限を持っています。つまり、今までタカネットサービスでできなかったことが、できるようになったということになります。
ーー「今までできなかったことが、自社内でできるようになる」というのは、最大の強みになると思いますが、具体的なメリットはどこにあるのでしょうか?
西口:大きなメリットは2つあると思っています。私たちが描いている循環系ビジネスモデルの最終部分を、今までどう処理していたかというと、栃木パーツのような解体業者や、海外のバイヤーに売っていました。タイやドバイ、マレーシアなどが主に日本の車両をよく使う国なのですが、先行して社内に海外事業部を作り、そういった国へも直接輸出できるようにしました。ただ、動かない車、事故を起こした車、海外では不人気な車といったものもあり、そういった車は部品取り用として国内の業者で解体をしていました。この部分に私たちが加勢できるようになったこと。これが、まず一つ目のメリットです。
そしてもう一つのメリットは、私たち自身も中古車事業をしており、今まで色々なところから仕入れていた車両の部品を、栃木パーツに集約することで部品調達の手間が省けるようになりました。これは、当然コストダウンにもつながります。この2つが大きなメリットだと考えています。
必要なのは集車力。これからは、車に関するあらゆるネットワークが全国に広がる
ーー今後、栃木パーツが中古部品の供給を安定させるために、どのような取り組みを進めていく予定でしょうか?
西口:解体業とはいえ、必要なのは車の集車力。車を集める力がどれくらいあるかということになります。栃木パーツは、栃木県の県南地区を中心とした地域で出た解体車両を集めている会社なのですが、私たちは神奈川県横浜市を中心に、全国ネットで取引をしております。トラックや商用車などの中古車買取・販売をはじめ、サブスクリースや商用車のレンタカーなど、そのサービス内容は多岐にわたります。さらにグループ会社では、全国陸送や整備工場、全国に運送会社も備えており、さまざまな形でネットワークが広がっています。栃木パーツがタカネットグループになったということは、その集車力が全国ネットで広がるということ。また、今までも事故した車や処分される車などの情報は得ていましたが、栃木パーツができるようなことに関しては、分野が違うので触れずにいました。今後は、そういった部分を主力事業として取り込んでいくことができるので、栃木パーツとしても、非常に広い集車力が得られるようになったのではないでしょうか。そして、その広い集車力で得たものが部品となって我々の元に戻って来るケースがあると思うので、そういった部分も含め、お互い非常にメリットがあるのではないかなと思っています。
ーー「広い集車力で得たものが、また部品になって戻ってくる」とおっしゃいましたが、環境への取り組みに関して、今回のM&Aがどのように貢献するとお考えでしょうか?
西口:まず、部品を再利用するという部分が、環境に対して非常に貢献していると考えています。エンジンやミッションなど、タイヤも含めてあらゆるものを再利用するというところに事業の収益性もありますし、SDGsの取り組みからすると、再利用するということは、物を長く使うということになります。再度部品を長く使うということは、持続性のあるエコな取り組みではないかなと考えています。
ーーお話をお聞きして、タカネットサービスの可能性がさらに広がったという印象を受けました。最後に、栃木パーツとの連携で、今後どのような成果を期待しているのでしょうか?
西口:まず冒頭で申し上げたように、私たちのグループ会社で補修用パーツの一括発注ができるようになったことはとても大きなことです。また近年、残念ながら自然災害が増えています。そうなると水没した車などが多く出てくるでしょう。そういった車をうまく循環させて再利用させるために、やはり解体業はなくてはならないと思うんです。弊社のネットワークと栃木パーツのネットワークが重なりあうことで、集車力が全国に広がります。今後は、あらゆるところで車に関するネットワークを作ることができて、栃木パーツの規模拡大にも繋がるのではないかと期待しています。また、今回のM&Aは、栃木パーツをいかに良くしていくかというためのもので、ハッピーな縁組だと思っています。私たちも、自社アセットとしてぐるっと循環できる、山手線のような仕組みを作ろうとしていました。今回のことで、東京駅~上野駅までが繋がったというようなところでしょうか。基本的な仕組みが完成したので、今後はこの事業の完熟を願い、グループのネットワークをしっかりと作っていきたいと思っています。